After Effectsのフラクタル
After Effectsに標準搭載されている数多のエフェクトの中で最も使い所が分からないもののひとつ、「フラクタル」について調べてみたら面白かったので少し書いてみます。
似た名前の「フラクタルノイズ」ではなく、「描画」カテゴリの中の「フラクタル」です。
フラクタルとは、ひたすら似た形が連なるような図形等のことをいいます。

平面レイヤー等に対してこのエフェクトを適用すると、まずよく分からないものが表示されます。
After Effects上ではマンデルブローと表記されていますが、数学ではマンデルブロ集合と呼ばれる複素数の集合です。
複素数というと、高校数学に出てくる、実数に虚数(2乗すると-1になる数、iで表される)を加えた数のことです。
a + bi と書くと見覚えがあるかもしれません。
この複素数でできた変換式 z → z^2 + c の計算をひたすら繰り返した時、無限大に発散しない複素数cの集合がマンデルブロ集合です。
ちなみに、エフェクトコントロールにあるX(現実)、Y(空想)というのは、X(実数)、Y(虚数)のことと思われます。
難しげな説明は脇に避けておいて、面白いところをご紹介します。
マンデルブロ集合は拡大すると銀河のような複雑な形がどこまでも現れ続けるという特徴があります。一周の長さが無限大で、終わりはありません。ただし実際に無限大の周を描画しようとすると、計算にかかる時間も無限大になってしまうため、After Effectsでは「エスケープ制限」という設定値に応じて計算を止めるようになっています。
After Effectsでは100倍までしか拡大できないものの、こんな感じになります。

Youtube等で “Mandelbrot zoom” と検索すると、専門の描画ソフト等を使ってひたすら拡大し続ける動画がいくつもヒットします。
拡大する場所によって全く違う景色が現れるので、是非試してみてください。After Effectsでは高倍率で拡大した後に座標を微調整したい場合、プレビュー画面上でスペース+ドラッグすることでも移動できるので便利です。
今度は「選択の設定」を「ジュリア」に変更してみます。

これはジュリア集合と呼ばれ、マンデルブロ集合と関係が深い複素数の集合です。
After Effects上の操作では「マンデルブロー」のX(現実)、Y(空想)を動かすと、ジュリアが変形します。ジュリア集合の解説等では、点cの値に応じて形が変わる、というような説明になっているかと思いますが、After Effectsでは「マンデルブロー」の位置を点cとして、画面中央に固定しているようです。
このジュリアの変形は、点cがマンデルブロ集合の内部にある時はひとつの閉じた図形のような形をとり、縁に向かうほど複雑になり、外部に出るとバラバラに分裂する、という動きをします。点cがマンデルブロ集合上のどこにあるかは、「エフェクトコントロール」の「カラー」内「オーバーレイ」にチェックを入れると確認できます。

gifアニメーションのノイズ軽減のためカラーをグレースケールにしています。
ジュリアもまたフラクタルなので拡大することもできますが、After Effectsではある程度拡大すると荒れた表示になってしまいます。
また別の設定、「マンデルブロー反転」で「反転後のオフセット」を動かしてみました。
なかなかすごい動きをしています。

「反転後のオフセット」のX(現実)を-1.9380〜-1.9440まで動かしたところ。拡大率は-29.0で、After Effectsではこれより小さく表示することはできません。画面外に飛び出す線や、途中の裏返る三日月状の形、どこまでも伸びていそうですね。
他にも「選択の設定」にある「ジュリア上のマンデルブロー」「ジュリア反転」や「方程式」の3乗・5乗・7乗等々、まだまだ掘り下げられる設定があります。ですが、マンデルブロ集合自体があまりにも奥深く、いわゆる “沼” の気配がするのでここまでにしておきます。